かんたん判例

かんたん判例

労働関係の判例から参考になりそうなものをピックアップ。簡潔に、わかりやすくご紹介します。

羽後銀行事件

現状

平日 8:50~16:50
・土曜日 8:50~14:00
・第3土曜日 自宅研修日

 

変更後

完全週休二日制の導入
 ・全土曜日を休日
 ・平日の毎週最初の日と毎月25日~月末の営業日8:50~17:50
 ・他の平日8:50~17:00

 

変更に同意していない従業員には変更の効力は及ばず、時間外賃金の支払いを求めて提訴

 

 

判断

合理性を肯定して原判決(2審)を破棄し控訴を棄却した

 

理由

不利益は小さくない 10分間、特定日は60分間労働時間延長
年単位の労働時間は減少しており、時間単価は上昇している
完全週休2日制は労働者にとって大きな利益
時間外手当の減少については時間外勤務が使用者の裁量によって行われ、当然に行われるものではないからそれを前提とする主張は合理的ではない

実質的不利益は必ずしも大きくない

 

年間所定労働時間が同業者の平均より短い
さらに他の金融機関においても完全週休2日制実施の際、平日の所定労働時間延長の措置が取られていること

競争力維持からも必要性あり

 

変更後の所定労働時間は週36時間40分または週40時間は長くなく、逆に平日の労働時間を延長しないと所定労働時間は週35時間になる

社会的相当性あり

黒川乳業事件

現状

30分の遅刻を容認する慣行の存在
旧就業規則には「従業員は作業開始時刻までに所定の場所に到達しなければならない」との規定はあったが賃金の減額の規定はない

変更後

遅刻届の提出と賃金カットを明記した新就業規則の規定を付加

 

労働条件不利益変更であり、新就業規則は無効であると紛争となった

 

新就業規則への変更の合理性を肯定し、減額分の給与の支払い請求を認めなかった

 

30分以内の遅刻について減額されなかった賃金が減額されることになるわけであるから労働条件不利益変更であるが

 

遅刻した労働者に遅刻届を提出させたり、賃金を減額したりすることは遅刻を防止するという目的がある 

 

変更の必要性あり

 

社会的相当性あり

 

遅刻をしても賃金の減額を受けないという利益が正当なものとは言い難い 

 

不利益は大きいものということはできない

ネスレ日本事件

現状

Y社 霞ヶ浦工場 島田工場 姫路工場 3つの工場
従業員X  姫路工場勤務 母 要介護度2 妻 精神疾患

配置転換


Y社 Xに霞ヶ浦工場への配転命令
X  拒否

判決
通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるもので権利の乱用に当たり無効
賃金支払い請求権が認められた